非定型うつの過眠はどのくらい眠るのか|1日12時間眠り続けた10ヶ月の記録

非定型うつ・メンタルヘルス 非定型うつ

「1日12時間以上眠ってしまう」「寝ても寝ても眠気が取れない」「起き上がれないのに、周囲からは怠けていると思われる」。

私は2026年5月に精神科で非定型うつの可能性を指摘され、それ以前から続いていた過眠と1年近く向き合ってきました。この記事は、その期間に実際に何が起きて、何を試して、何が効かなかったのかを、日付とともに記録したものです。

ネット上には非定型うつの解説記事が数多くあります。ただ、そのほとんどは医療機関が書いたものです。症状の定義としては正確ですが、「実際に12時間眠り続ける生活がどういうものか」までは書かれていません。当事者が知りたいのは、たいていそちらです。

この記事では、当事者としての記録に絞って書きます。

※本記事は個人の経験の記録であり、診断や治療の指針ではありません。症状や治療については必ず主治医にご相談ください。

非定型うつとは何か

非定型うつは、従来のうつ病とは症状の出方が異なるタイプのうつです。最大の違いは気分反応性があることです。

典型的なうつ病は「何をしても楽しめない」状態が続きます。一方、非定型うつは良いことがあると一時的に気分が上向きます。そのため「うつなのに楽しそうにしている」と誤解されやすいという特徴があります。

診断基準では、おおむね次の特徴が挙げられます。

  • 気分反応性(良い出来事があると一時的に気分が回復する)
  • 過眠(眠りすぎる)
  • 過食または体重増加
  • 鉛様麻痺(手足が鉛のように重く感じる)
  • 対人過敏(拒絶されることへの強い恐れ)

私の場合、このうち過眠と過食が特に強く出ました。そしてこの2つは、外から見るとただの怠けと区別がつきません。ここが一番きつい部分でした。

過眠はどのくらい眠るのか

「眠りすぎる」と言われても、どのくらいなのかは伝わりにくいと思います。私の実際の記録を出します。

1日12時間以上が普通になる

2026年4月26日の記録です。

今日も気づけば12時間以上寝ていた。夕方まで布団から出られず、二度寝・三度寝を繰り返してしまう。十分すぎるほど寝ているはずなのに、眠気が取れない。

ポイントは「寝ても回復感がない」ことです。普通の寝不足なら、長く寝ればスッキリします。過眠はそうなりません。12時間寝て、それでも眠い。

昼寝4〜5時間+夜6〜7時間という構造

2026年5月12日の記録です。

夜に特定の時間に寝ようとしているのだが、日中に昼寝で4〜5時間寝てしまう。夜に6〜7時間寝るとトータルの睡眠時間がかなり長くなり、結果として就寝リズムもずれていく。悪循環だ。

これが過眠の厄介なところです。夜だけの問題ではありません。日中に4〜5時間持っていかれるため、夜眠れなくなり、さらにリズムが崩れます。

抗えないタイプの眠気がある

2026年3月30日、はっきり「これはおかしい」と自覚した日の記録です。

シーツを変えている最中、急に強い眠気が来た。少し休めばいいかな、というレベルではなく、抗えないタイプの眠気だった。気づいたら、シーツを変えている途中のまま、床で寝ていた。

作業の途中で、床で寝ていました。

このときの詳細は過眠の強さを実感した日の記録に書いています。

睡眠ログの実例

2026年5月7日の実際の睡眠記録です。

  • 深夜3時:就寝
  • 朝5時:目が覚める(そこから眠れず)
  • 午前11時:再び就寝
  • 夜19時:起床

こうなると、活動できる時間は1日に数時間しか残りません。

この時期の状態は睡眠リズムが崩れ続けた日々の記録12時間睡眠が続いた日々の記録にも記録しています。

過食も同時に起きる

非定型うつでは過眠と過食が並行して出ることがあります。私の場合もそうでした。

食欲も際限なく続いている。お金がある限り食べてしまう状態で、今日はパンを一斤食べきってしまった。(2026年4月26日)

空腹だから食べるのではありません。頭が「食べたい」という信号を出し続ける感覚です。我慢しようとすると、それ自体が強いストレスになります。

失敗した対処法:環境で強制的に制限する

ここは他の記事にはあまり書かれていない部分だと思うので、失敗例として残しておきます。

2026年5月6日、私はお金を使い切って、外で食べ物を買えない状況を意図的に作りました。意志の力に頼らず環境で行動を変える、という発想です。

結果は5日後に出ました。

以前、お金を使い切って「外で食べ物を買えない環境」を意図的に作った。しかしその反動として、食欲への執着がより強くなってしまった可能性がある。極限まで追い込むと、体が飢餓状態に近いシグナルを発し、食欲がより強化されることがある。(2026年5月11日)

追い込みすぎは逆効果でした。特に夜中がきつく、暗い部屋で空腹を我慢すること自体が大きなストレスになりました。過食への対処は、制限を強めるほど反動が来ます。

この点は正直に言うと、記事を書いている2026年8月時点でもまだ解決していません。

過食との具体的なやりとりは夜中の食欲と向き合った記録過眠と食欲が止まらない日々の記録に詳しく書いています。

診断されるまでの経緯

2025年11月:眠りすぎが始まる

最初は「最近よく寝るな」という程度でした。体が重く、意欲が湧かず、気づくとベッドに戻っている。そんな自分に罪悪感を覚えていました。

2026年3月:異常を自覚する

床で寝落ちした日に、「これは次の診察で必ず伝えないといけない」と判断しました。

2026年4月:薬の調整が始まる

夢と現実の境界がわからなくなる感覚が続いていることを医師に伝え、薬の量を減らして様子を見ることになりました。

このとき医師から言われた言葉が、当時かなり効きました。

回復してきたと感じていた時期に色々と動き始めたものの、ある時点でショートしてしまい、やる気が出なくなって動けなくなり、睡眠時間も増えていった。そのことも正直に話すと、「浮き沈みがあるのは自然なこと」と言ってもらえた。また、睡眠時間が増えたのは体が必要としているからだという言葉も、素直に受け取ることができた。

2026年5月21日:非定型うつの可能性を指摘される

調子の悪さと、お金を限界まで使って食べてしまうことを正直に話した結果、非定型うつの可能性があると言われました。

このとき自分でも意外だったのは、病名がつくことで少し楽になったことです。

それが病気の波の一部だということがわかっただけでも、少し楽になった気がする。自分がダメなのではなく、そういう状態にあるのだということを受け止めていきたい。

医師から勧められたのは、日光を浴びることと体を動かすことでした。セロトニンの分泌のためだそうです。ただ、いきなり外に出るのはハードルが高いので、まずは窓から光を入れるところから始めました。

このときの診察の内容は非定型うつの可能性を指摘された日の記録にまとめています。

薬の記録:デエビゴからクービビックへ

薬について検索している人が多いと思うので、実際の変遷を書きます。薬の効き方には個人差が大きいので、あくまで一例として読んでください。

2026年6月18日:変更

デエビゴでは寝付きの改善が十分に得られていなかったため、クービビックに変更になりました。

変更初日(6月19日)

今日は18時頃まで寝ないと満足できず、活動がほとんどできなかった。

3日目(6月21日):金縛りが頻発

ここが一番きつかった時期です。

今日は途中で何度も目を覚ましたのだが、そのたびに金縛りになり、体が動かせずに何もできない状態が続いた。意識ははっきりしているのに体だけが動かない感覚はかなり辛いものがある。長時間寝ているにもかかわらず、金縛りを繰り返している分、実際にはまったく休めていない感覚がある。

「長く寝ているのに休めていない」というのが、この時期の実感でした。

薬が減ると寝つきが悪化する

7月20日、睡眠前の薬が一つ減ったところ、寝つきの悪さが戻りました。薬なしだと眠ってもすぐ目が覚めてしまう状態です。

6月1日の記録にはこう書いています。

最近、10時間前後の睡眠が必要な感じがしている。薬の影響もあるのでなんとも言えないが、薬がないと寝てもすぐに目が覚めてしまう。薬を飲んでいる状態でこの睡眠時間というのが、今の自分にとっての正常なのだろうと受け入れるようにしている。

変更時の診察はデエビゴからクービビックへ変更した日の記録、金縛りが続いた時期は金縛りを繰り返した日の記録に記録しています。

生活リズムをどう戻したか

ここが一番知りたい人が多い部分だと思います。結論から言うと、「整えようと頑張った時期」は失敗し、「受け入れた時期」のあとに戻り始めました。

失敗したアプローチ:無理に整えようとする

5月上旬、私は生活リズムの立て直しを決意して、起床時間を決め、朝の光を浴びる、昼寝は短くする、といったことを試みました。

しかし、うまくいきませんでした。5月7日の記録です。

「直さなければ」という焦燥感はある。でも、その焦りこそが回復を遅らせる原因になっている気がしている。焦れば焦るほどストレスになり、さらに体の回復が遅れるという悪循環だ。

7月24日にも同じことが起きています。

やはり、睡眠がうまくいかないことがストレスになっているのが関係していそうだと感じている。とにかくイライラしてしまい、なぜ寝付けないのかがわからないもどかしさもある。

睡眠が乱れる → 焦る → ストレスで余計に眠れない。このループが最も長く続きました。

転機:昼寝を受け入れる

6月22日、方針を変えました。

昼寝についてはどうしても必要だという感覚があるので、無理に抗おうとせず、ある程度諦めて受け入れることにしている。それ以外の時間でしっかり勉強もできているし、休めるべき時にはきちんと休めているので、今のこのバランスはいい感じだと感じている。

「昼寝をなくす」のではなく「昼寝は必要なものとして計算に入れる」。これで焦りが減り、結果的に活動量が増えました

8月13日:医師からの具体的な指示

通院で生活リズムの乱れを指摘され、こうアドバイスされました。

  • 寝るときはしっかり寝て、朝の時間帯に起きることを徹底する
  • 寝つくまでに時間がかかること自体は、仕方ないものとして受け入れる
  • 昼頃の眠気と戦いながら、夜にまとめて眠るようにする

ポイントは「寝る時間」ではなく「起きる時間」を固定することでした。寝つきは自分でコントロールできませんが、起きる時間は多少コントロールできます。

8月14日:10時起きまで回復

睡眠のサイクルを戻せてきている。夜に寝て、朝は遅めではあるものの10時には起きられるようになってきた。

夕方起き・朝方就寝の状態から、10時起きまで戻りました。効いたのは夜更かしの原因になっているもの(私の場合は配信の視聴)を遅くまで見ないことでした。

特別なことは何もしていません。「起きる時間を決める」「夜更かしの原因を1つだけ減らす」。この2つです。

具体的な手順は昼夜逆転を直すための生活習慣の整え方生活リズムを取り戻すための朝のルーティンに、戻せたときの記録は10時起きまで戻せた日の記録にあります。

実際にやってみて効いたこと・効かなかったこと

効かなかったこと

  • 起床時間を一気に変える — 体が対応できず失敗しました。30分〜1時間ずつが現実的です
  • 昼寝を完全になくそうとする — 抗えないので、失敗して自己嫌悪になるだけでした
  • 食欲を環境で強制的に制限する — 反動で執着が強くなりました
  • 「早く寝なければ」と焦る — 焦るほど眠れませんでした

効いたこと

  • 起床時間だけを固定する — 就寝時間は成り行きに任せる
  • 昼寝を計画に組み込む — なくそうとせず、あるものとして予定を立てる
  • 夜更かしの原因を1つだけ減らす — 全部やめようとしない
  • 記録をつける — 自分のパターンが見えると、予定を先に調整できます
  • お風呂に入る — 寝すぎて重くなった頭が、湯船で少し軽くなる感覚がありました
  • 調子が悪い日は「できることだけ」やる — 完璧を目指すより回復が早い実感があります
  • 通院を続けて正直に話す — 自分では気づけない変化を言語化して伝えると、薬を調整してもらえます

このあたりは非定型うつとの付き合い方睡眠の質を上げるために意識している工夫にもまとめています。寝付けないときに試したものは寝付けない人向けの安眠グッズ・サプリ4選に書きました。

過眠は生活にどう影響するか

活動できる時間が数時間しか残らない

夕方に起きると、そこから活動できるのは数時間です。7月23日の記録では、勉強のリズムが崩れかけていることを気にしています。

明るい時間帯に勉強しているという感覚がどんどん薄れていく。このままだと、せっかく覚えたことも忘れていきそうで少し怖い。

罪悪感が積み重なる

何もできない時間が長く続くと、どうしても罪悪感が湧いてくる。「また一日寝て終わってしまった」という感覚は、回復期であることはわかっていても気持ちの上では辛い。(2026年6月19日)

過眠のつらさは、眠気そのものよりもこの罪悪感の部分が大きいと感じています。

この時期の勉強との折り合いは日中に大量に寝てしまう問題にも書いています。

それでも進んだこと

この1年、寝てばかりの日が大半でした。それでも、動ける日を積み重ねた結果として、いくつかのことは進みました。

  • iOSアプリを10本リリースした(うち7本は約1ヶ月で開発)
  • データサイエンス関連の資格試験に合格した
  • TOEICの模試で625点から740点まで上がった

非定型うつには気分反応性があるので、動ける日は普通に動けます。だからこそ周囲に理解されにくいのですが、逆に言えば「動ける日にまとめてやる」という進め方は成立します。

同じ状態の人へ

もし今、1日10時間以上眠ってしまって自分を責めているなら、伝えたいことが3つあります。

1. 受診して伝えてください。 過眠は自分では判断がつきません。ナルコレプシーなど別の疾患の可能性もあります。私は「これくらいで相談していいのか」と迷って時間を無駄にしました。金縛りが続く、抗えない眠気で作業中に寝落ちする、といった具体的な事実をそのまま伝えるのが一番早いです。

2. 整えようと焦らないでください。 私は焦った期間が一番長く停滞しました。受け入れてから戻り始めました。

3. 眠りすぎるのは怠けではありません。 医師には「睡眠時間が増えたのは体が必要としているから」と言われました。私はこの言葉で少し楽になりました。

まだ完全に戻ったわけではありません。食欲の問題は現在も続いていますし、10時起きは達成しましたが理想の8時起きには届いていません。この記事も、途中経過の記録です。

ただ、夕方起きの生活から10時起きまでは戻せました。少しずつではありますが、変わっていきます。

※繰り返しになりますが、本記事は個人の経験の記録です。診断・治療については必ず医療機関にご相談ください。

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