掃除がメンタルに効く、という話はよく聞きます。実際に自分で体験して、効くけれど、言われているのとは少し違う理由で効くと感じました。
当時の記録に「掃除で得た爽快感と、寝付けないことへの苛立ち」と書いた日があります。掃除はできた。でも眠れなかった。掃除は睡眠を直してくれませんでした。
それでも掃除に意味があると思う理由を書きます。
1. 結果が確実に出る、数少ない行動だから
回復期に一番きついのは、やったことの結果が見えないことです。
生活リズムを整えようとしても、努力した翌日にまた崩れる。勉強しても、体調が悪ければ翌週には忘れている。頑張っても報われない期間が続くと、頑張ること自体をやめたくなります。
掃除は違います。拭いた場所はきれいになる。片付けた場所は片付いている。投入した労力と結果が1対1で対応します。
これは回復期には貴重です。何一つ思い通りにならない時期に、「確実に結果が出る行動」が一つあるだけで、自己効力感が保てます。
2. 判断の回数を減らせるから
散らかった部屋にいると、視界に入る物のたびに小さな判断が発生します。「これは片付けるべきか」「あとで使うか」。一つ一つは小さくても、数が多いと消耗します。
うつの状態では、この「判断する」という行為のコストが上がっています。何を着るか決められない、何を食べるか決められない、という経験がある方は分かると思います。
物が減れば判断も減る。片付けは、意志力を節約するための環境整備だと理解しています。
3. 体を動かす口実になるから
医師から運動を勧められましたが、「運動のために運動する」のは続きませんでした。目的がないと、動けない日に真っ先に切り捨てられます。
掃除は結果的に体を動かすことになるので、運動として構えなくていい。室内でできる運動を探していた時期に、掃除が一番自然に続いたのはこの理由だと思います。
やってはいけないこと:完璧を目指す
一つだけ、失敗した経験を書きます。
調子がいい日に「全部きれいにしよう」として、途中で力尽きて、かえって散らかった状態で終わったことがあります。中断された掃除は、始める前より悪い状態を残します。
これは生活リズムを一気に直そうとして失敗したのとまったく同じ構造でした。
いまは範囲を先に決めています。「今日はこの一箇所だけ」と決めて、終わったらやめる。調子が良くても広げない。そうすると、次の日も同じことができます。
掃除は治療ではありません
最後に、はっきり書いておきます。
掃除でうつが治ることはありません。私の場合、必要だったのは通院と薬の調整でした。「部屋を片付ければ心も整う」という話を、治療の代わりにしてはいけないと思っています。
掃除にできるのは、回復を待つ期間を、少しだけ過ごしやすくすることです。それは小さいけれど、確かに意味があります。
まとめ
- 掃除が効くのは「投入した労力と結果が1対1で対応する」数少ない行動だから
- 物が減ると判断の回数が減る。うつの状態では判断のコストが上がっている
- 運動として構えずに体を動かせる
- 完璧を目指さない。中断された掃除は始める前より悪い状態を残す
- 範囲を先に決めて、調子が良くても広げない
- 掃除は治療ではない。回復を待つ期間を過ごしやすくするもの
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